何気ない毎日の中でも、仕事や家族、子育て、人間関係など、なんだかモヤモヤしてしまう「お悩み」は湧いてくるもの。そこで、今回は「今日も一日おつかれさま」のコーナーで、ご執筆いただいている僧侶のみなさまに、お悩みを解決するためのヒントをいただきます。
事前にご応募いただいたお悩みに、3人の僧侶がお答え。3週に渡ってお届けします。先週の木原さんに引き続き、2週目をご担当いただくのは、浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守、三宅千空（みやけ ちひろ）さん。
先行き不安なこの時代に生きる私たち。みんな同じ悩みではないけれど、ひととき、心をほぐすきっかけになれば幸いです。
〜 お悩み 〜
仲良くしていたママ友に距離をとられたことが悲しく、毎日思い出してしまいます。引きずるのをやめたいです。
ずっと仲良くしていたママ友がいました。子供を抜きにしても、ずっと友だちでいたいと思っていましたが、ちょうど一年前、白木蓮が咲くころ、子供が卒業するタイミングで距離をとられるようになりました。
子供たちが卒業しても、仲良くしていけると思っていたので、とてもショックをうけました。 それから1年経ちますが、毎日一回は思い出し、悲しい気持ちになります。
相談させていただきたいのは、彼女が離れていったのには理由があると思います。そこは今となっては確かめようがありませんが、引きずるのはやめたいのです。 どうしたらいいでしょうか。今年も白木蓮のつぼみが ふくらんできました。今年は、白木蓮のように上を向いていたいです。
コロンさん 48歳
〜 お悩み解決のヒント〜
一点からだけでなく、いろいろな立ち位置から見直してみると、少しだけ楽に抱えられるようになるかもしれません
今までの関係がガラッとかわる、しかもその原因がわからないのは、本当につらかったことと思います。今までのやり取りがなくなってしまった「ぽっかり」喪失感も大きいことかと……
人はどうしても、わからないことに対して不安やこだわりを持ってしまいがちです。ずっと続くと思っていたご関係ならなおさらかと思います。が、状況がわからないことを追求するのはいったん横に置いて、あなたの人生の中で「その時確かに楽しかった、嬉しかったこと」としてこれからも大事にしていってもいいかなあ、と思います。
また、思い出したくなくても湧いてきてしまうのは、人として当たり前のことです。「今はまだそれだけ引っかかっているのか。自分にとって大事な関係や時間だったんだなあ」と、自分の外から自分をみるような感じでとらえてみてはいかがでしょうか。状況をみる時にどこか一点から見るだけでなく、いろいろな立ち位置から見直してみると、少しだけ楽に抱えられるようになるかもしれませんし、あなた自身が何を大事にして生きていきたいのかを、気づきなおすきっかけになるのかもしれません。
案外、想像しているのとは違うところに、関係の変化の原因があることも。
お子さんが卒業ということは、お互いの普段の生活も大きく変化され、新しい環境を受け入れるための時間や心づもりが必要なこともあります。また、コロンさんが彼女に見せていたのがあなた自身やあなたの生活すべてではきっとなかったように、彼女がコロンさんに見せていた彼女自身もまた全てではなかったと思います。いいわるいとは違う、そういうものなのかなあと思います。
お寺にいると、ご縁ができたとしても、じきに離れていく方もあり、それはその人のステージがかわったのかなあと、さみしく思いつつも「そこでがんばってらっしゃいますように」と願っています。
白木蓮の花が、ママ友さんとの「あなたのよき思い出」をひとつひとつまた咲かせてくれますように。また、春には色とりどりの花が咲くように、あなたの心にもたくさんの花が咲きますように。
お答えいただいたのは…
三宅千空
（みやけ ちひろ）
浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守（住職の配偶者）。「グリーフケア〜たいせつなものを失ったことを抱えながら過ごしてもいい、嬉しいときも困った時もお寺はあなたと一緒だよ」ということを、近所に住む子どもや親たちに気軽にお寺に寄ってもらうことを通して、伝えたいと思っています。
三宅さんを含めた、僧侶のみなさんによるリレー連載『今日も一日おつかれさま』は、毎週、月曜日・木曜日・日曜日の22:00に更新しています。一日の終わりに読むと、肩の荷がふっと降り、スイッチをオフにできます。こちらも併せて、ぜひご覧ください。
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