Blog大草直子の毎日AMARC
ある方から、「今買うべき時計」の件でお問い合わせをいただきました。「プロジェクトをやり遂げた」「子供を出産した」「昇進した」など、何かの記念に。あ、もちろん記念ではなく、ずっと欲しかったから――時計を新調する理由は、人それぞれですが。高価なものだし、かつ、カットソーなどと違い、頻繁に買い足したり買い替えたりできないので、迷いますよね?
30代後半まで「これ!」という1本に出会うまで、私も探し続けました。購入してから10年近く経ちましたが、今でももちろん、その1本に頼ったり、上げてもらったり、寄り添ってもらっています。
その1本は、IWCのポルトギーゼ。とにかく働き続けた20代30代を過ごし、30代後半になり。自分のキャリアの1つの目標をクリアした頃でした。夢だった本を出版した、憧れの雑誌で特集を組んでもらった、など。そして、やっと「この仕事で一生食べていこう」と決意した頃でもありました。
ずっと探してはいたけれど、「これだ!」という時計と、自分の人生の、あるステージが確かになった時と重なっていたのは、偶然ではなかった気がします。
そう、時計は、自分の人生の羅針盤であり、女性像託せる鏡のようなもの。私がIWCのポルトギーゼを選んだ理由は、「人と違う、自分にしかできない仕事をしよう」「格好良くあること、マスキュリンであることを自分のキャリアやファッションのアイデンティティにしよう」と決意したからです。その瞬間に、様々なブランドが候補から消え、かつドレスウォッチやジュエリーウォッチの選択肢はなくなりました。
メンズには人気ではありましたが、まだまだ女性がビッグフェイス(かつ厚い)の時計を持っていなかった頃だったので、ポルトギーゼに出会ったとき、全く迷うことなく決めました。
決める時の基準は、「10年先のキャリアや女性像を映す時計であること」。今の自分にフィットする、ではなく、少し先の自分を表現できるものを選ぶと良いと思います。デザイン、ブランド。そして値段も、今の自分の精一杯、ではなく、10年先の自分が決める予算で。
そうすることで、時計に認められる自分になろう、と思うはずです。これだ、と思い手にしたポルトギーゼは、今、10年私のそばにいてくれています。次の10年を託せる時計を、私も探し中。2回目のこの作業、楽しみたい、と思います!