Blog大草直子の毎日AMARC
メンターとは、指導者や上限者、相談者なんて訳されることが多いのですが、私の場合は、「お手本」みたいな意味で使っています。講談社の『Graiza』という雑誌の元編集長で、実は、彼女は52歳で亡くなったのですが、そのNさんは、間違いなく私のメンターです。今でも、笑い声や自筆、そしてコーディネートもクリアに思い出します。イタリアへのプライベートの旅もご一緒させて頂いたり、サルサも実は(笑)。クライアントとの食事にも帯同させて頂き、たくさんの思い出があります。最初に編集部にご挨拶に行った時のこともよく覚えていて、Gapのパープルのリネンシャツを着ていったら、「私も同じのを持っているわ」とおっしゃった1シーンは、まるで昨日のことのようです。肌が透き通るように白く、シルクのブラウスにウールのタイトスカート、美しいストッキングにパンプス――のような、大人のエレガンスを体現されていたNさん。声が少し高くて可愛くて、けれど、決して忖度しない、迷わない、その言葉選びはとてもストレートで清潔でした。私が仕事や生き方に自信がなかった時に、「大草さんは、このままフリーで、自分の名前で生きていけば大丈夫よ。絶対に」と、言って頂いたことは、今でも道しるべになっています。その後、38歳で3人目を出産した後、「次からはあなたでいくわ」と年賀状に書いてくださり、そこから、本格的なキャリアがスタートしました。それまでは、一度も作ったページを褒められたことがなかったんです。それは、『Grazia』を始めて10年後のことでした。
どうして今、このことを書いてるか、言うと、私にとって、52歳、という年が特別なタイミングだからです。数年の闘病後、52歳でお亡くなりになったNさん。キリスト教式のミサに行ったその後は、数日は立ち上がることができなかったほど。その年齢に、来年は私もなろうとしています。今の仕事の意義や意味、生き続けることの使命。しっかりと考えようと思っています。
メンター、みなさんにもいますか?