Fashion信じるおしゃれ

【心地よい家。心地よい時間】天然素材の良さを活かしたキッチン by 櫛部美佐子

リビングから見えるキッチンは、まるでギャラリーのような空間。美しいだけではなく、身体に優しいオーガニックな生活をさらりと送っている櫛部さん。生活感が見えがちなエリアだからこそ、ちょっとした配置の仕方や収納テクニックが参考になります。

好きなものの組み合わせで
スタイルを作る

ボール型の電球のような照明は、目黒通りにあるインテリアショップ「Point No.39」で購入したもの。インテリアショップが大好きで、目黒通りをよく歩いています(笑)

壁に飾ってある版画はメキシコで買ったもの。メキシコって、版画アートが盛んなんです。白と黒で描かれた世界も、額をどうするかで印象が変わってくるので、面白いですよね。リビングやキッチンは、モダンやシャープというより、ナチュラルな雰囲気にしたかったので明るめの木の額に入れました。

壁に飾ったり、キッチンに置いてあるものは、どこに何を飾ろうと考えて買ったものではなく、歩いて、目で見て気に入ったものを集めたものたち。そのときどきの気分で入れ替えることもありますが、私自身が「好きなもの」という共通項があるので、意外とまとまるんです。

器は、白と黒のものが大好きです。20年以上益子の陶器市に通っているので、そこで手に入れたものがほとんどですが、海外で買ってきたものもいくつか。

お気に入りの田代倫章さんの器。縁取りの感じや、形、色など、すべてがツボ♡ 黒の器は、どんな料理を盛っても映えますし、収集しやすいプライスも◎。益子に行くたびに、田代さんの作品を拝見しています。
写真の中央に重ねてある器は、インドネシアで購入したもの。細やかな手仕事から伝わる、温もりのある風情が気に入っています。器として料理を入れたり、ちょっとしたお菓子を入れて出すことも。

一番よく使うのは、黒い器。料理の種類も和・洋・中を問いませんし、ホームパーティでも料理を美味しく、お洒落に見せてくれるので頼りにしています。見えるところには、よく使うお気に入りの作家さんの器を中心に、色別に収納していますが、これ以外にもあるんです。すべてを見せてしまうと、どうしてもごちゃっとしてしまうので、一部は見えないところにしまってあります。

食も産地にこだわった
旬のものを

毎年、冬になると、埼玉県の狭山市からりんごを取り寄せています。そのままだと、そんなにたくさん食べられないので、いくつかはフードハイドレーターでドライに。旨味がぎゅっと濃縮されて、生のりんごとはまた違った味わいを楽しめるんです。作ったものはガラスの瓶に入れて収納。見た目も可愛いですし、ちょっと小腹が空いた時に、おやつ代わりに食べています。

器が収納されている棚の上には、大きめのガラスのキャニスターが。左から”令和”の新米、デーツ、ハーブスパイス、グルテンフリーのパスタ、ワールドライス。

自然が生み出した美しい色は、目にも優しいんです。ですから、あえて見えるところに、ガラスのキャニスターを並べ、お米やパスタ、ハーブなどを入れています。ストックの量も一目瞭然ですし、キャニスターから出して料理をするのも、なんだか楽しいんです。

これはおまけですが(笑)、旅行に行った時に拾ったサンゴや貝。これらを箸置きとして使っています。思い出が詰まっていますし、この同じものが一つとしてない有機的な形が美しくって気に入っています。とにかく自然の中にあるものが好きで、目に留まると、何かに使えないかな、とつい考えてしまいます。


COLUMN
お迎えはバブーシュで

ゲストのスリッパはバブーシュで統一。カラフルで見た目も可愛いく、履き心地も◎。暖かみもあって良いですよね。これはモロッコのマラケシュで購入しました。


Profile

櫛部美佐子

様々なブランドでデザイナーを歴任し、ファッションウエアやヨガウエアなどを手がける。現在はフリーランスとして、2018年春にスタートしたセレクトショップ「カオス」でディレクターとデザイナーを兼任している。

House & Model/Misako Kushibe
Photograph/Akari Nishi
Text/Momoko Kawakami
Edit/Ayako Suzuki