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【心地よい家。心地よい時間】家への愛着が倍増。白壁とコーナーの飾り方 by 櫛部美佐子

櫛部さんのご自宅の中で、とくに印象的だったのが、空間の使い方。さまざまな国の、さまざまな物が、センスよく配置されていて、とにかくお洒落なんです。なかでも、壁とコーナーの飾り方が絶妙! なかなか難しい、”見せるインテリア”のヒントが盛りだくさんなので、ぜひ参考に。

旅先で得たインスピレーションを
散りばめてインテリアに

家の中に飾っているものは、揃えようと思って揃えたというより、たまたま見つけたものばかりなんです。だから、いろいろなところで買ったものが混在していますが、それがまた、面白いなって思っています。それぞれに違った思い出も詰まっていますしね。

上の写真の奥に飾ってあるお面はアフリカ、向かって左奥に見えるクッションはモロッコで購入したもの。旅先の方が、普段目にしないものを目にできるので、インスピレーションを刺激され、購入に至ることが多いですね。

キッチン編でもご紹介した版画アートは、メキシコで購入したもの。手前の照明にかかっている植物は「ナタマメ」です。以前は青々としていたのですが、気がついたらこんな色に(笑)。もう何年もこの場所にかかっているのですが、版画アートの木枠とのグラデーションが良い感じになってきました。

1階から2階に上がる階段に飾ってあるのは、インドネシアで購入したお面。ブラックとブラウンを色別に飾りました。縦長のお面が多いのですが、それだけだと間延びしてしまうので、小さなお面も間に配置。実は、アフリカで購入したお面もあったのですが、「顔が怖い」との声が多く(汗)。玄関に魔除け?泥棒よけ?として飾ることに。

2階から3階に上がる階段の壁には絵を飾っています。タッチも色も異なる絵ですが、額縁を統一すると、一体感が出るんです。階段や手すりがナチュラルな木目なので、絵の額縁はシックなブラウンにして引き締めました。

階段の、縦長のスペースにはこんな風に長い枝をつるしています。くるくるっとなった枝先や、唯一無二のフォルムが空間にも心にも癒しを与えてくれます。

好きなものを集めて飾る
それだけなんです

座っている椅子は、少し見えにくいですが、ワニのモチーフなんです。マレーシアで見つけたのですが、大きさも重量もかなりあったので、さすがに持って帰れず、あとから船便で送ってもらいました。すごく日数がかかって、引き取るときも大変でしたが、今となっては、そこまで含めて楽しい思い出。とても気に入っています。

壁にかかっているのは、熊谷美沙子さんの「neulo(ネウロ)」というウォールハンギングのブランドの作品です。柔らかな色味、そしてひとつひとつ手作業で作られているからこその、温かみのある表情に一目惚れしました。

玄関に入ってすぐ飾ってあるのは、インドネシアで購入したキリン。お客さまをお行儀よくお出迎えしてくれます(笑)。私より背が高く、首が折れてしまったりもしましたが、自分で直し、飾り続けています。

1階から2階に上がる階段のコーナーではアロマを焚いています。玄関を入ってすぐに香り、2階までしっかり香りを届けてくれます。撮影の日は「ホールフーズ」で購入した、ティーツリーのオイルをチョイスしました。


白壁と同じくコーナーには、何かしら飾るようにしています。意外とコーナーって目に留まるんです。だから、コーナーに好きなものを飾ると、家で過ごす時間がより豊かになる気がして。

2階から3階に上がるコーナーの一つ。大きなガラスの瓶に、ドライな植物を詰めたものを置いてあります。自然の中で生まれた、オーガニックな形や色が好きなんです。
2階から3階に上がる、もう一つのコーナーにはドライフラワーの花束を。このボリューム感やこのフォルムはドライだからこそキープできるもの。ガラス瓶の中の植物と同じく、少しくすんだ、味わい深いカラーリングは、視界の片隅に入っただけでも癒されます。


家のなかの、いろいろなところに好きなものを飾って、好きなものに囲まれて暮らしていると、いつでも幸せな気持ちになれるんです。旅行に行ったときも「これ、どこに飾ろうかな」と考えるのは、楽しみのひとつ。白壁の面積をどんどん少なくしていったり、コーナーの飾りを入れ替えたりしながら、自分好みの空間を追求していくのが、面白くて仕方ないんですよね。


Profile

櫛部美佐子

様々なブランドでデザイナーを歴任し、ファッションウエアやヨガウエアなどを手がける。現在はフリーランスとして、2018年春にスタートしたセレクトショップ「カオス」でディレクターとデザイナーを兼任している。

House & Model/Misako Kushibe
Photograph/Akari Nishi
Text/Momoko Kawakami
Edit/Ayako Suzuki