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【心地よい家。心地よい時間】年齢を重ねて変わってきた、器との付き合い方 by 一田憲子

雑誌『暮らしのおへそ』や書籍の編集・執筆されている一田憲子さんのお宅訪問3回目は愛用する器を紹介します。以前とは変わってきた器との付き合い方を教えていただきました。

今は作家さんの名前よりも、料理が映える器を

以前は、作家さんの名前で器を買っていたところがありました。でも最近は、テーブルいっぱいに作家さんの名前が並ぶとtoo muchだなと感じるようになり、料理が映えるかどうかを基準に器を選ぶように。もちろん今でも、素敵な作家さんのものを手にすることもありますが、基本的には偶然通りかかったお店で、気に入った器をぱっと買うことがほとんどです。

いちばん上は吉祥寺の雑貨店「ミスト」、下ふたつはギャラリー「ジコンカ」で購入したもの。
片口のガラスの器は鎌倉の「夏椿」で買った、木下宝さん作。コップくらいの大きさで使い勝手がいい。

“口”がある器が好きなんです。片口の器も多いですし、陶器のポットもいくつもあって。なんだか可愛いんですよね。小鉢はごま和えやサラダなどの副菜に、口のついたガラスはドレッシングやソース入れにしています。

オーバルの皿はイイホシユミコさんのもの。サイズ違い、色違いで揃えている。

テーブルに並べたとき、丸いお皿だけでなく、細長いオーバルのものが入ると、机の上がリズミカルになって、バランスがいいんです。このオーバルプレートはいちばん大きいもので長さ27㎝ほど。小さなお皿にたっぷり盛り付けるよりも、大きめのお皿に余白を残して盛り付けたほうが“ごちそう”に見えるので、我が家は大きめのお皿や鉢が多いです。

器はこの食器棚に入るだけ

食器棚は恵比寿にある「アンティーク タミゼ」で購入。

若い頃は使ってみないとわからないから、と気に入ったものをあまり深く考えずに買っていましたが、それでは増える一方なので、今は用途もしっかり考えてから買うようになりました。とはいえ、器が好きなことには変わりないので……。持つのはこの食器棚に収まるだけと決めました。収納しきれなくなったら放出。家でご飯会を開いたときなどに、まとめて箱に入れて「ご自由にお待ち下さい」としています。



COLUMN
料理は大皿で出すことが多いので
取り分け用のカトラリーも増えました

直接口に触れるスプーンや箸は木製を使っていますが、取り分け用はすくいやすいように金属製のものを揃えています。大小ふたつのスプーンはサカノユキさんのもの。


Profile

一田憲子

OLを経て編集プロダクションに転職。その後フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などを手がける。 2006年、企画から編集、執筆までを手がける「暮らしのおへそ」を、2011年「大人になったら着たい服」を(共に主婦と生活社)立ち上げる。 そのほか、「天然生活」「暮らしのまんなか」「クレア」「LEE」などで執筆。 全国を飛び回り取材を行っている。心を刺激したコトやモノを、自身の文章で綴ったWEBサイト「外の音、内の香」」も人気。

House & Model/ Noriko Ichida
Photograph/Akari Nishi
Text/Rina Koyama
Edit/Ayako Suzuki