Fashion信じるおしゃれ

【人生はコーナーに表れる】壁や梁は真っ白にペイント。絵を描くように色を足して

インテリアのリレー連載。年齢もバックグラウンドも異なる8名のパリジェンヌをフィーチャーし、それぞれの自宅のお気に入りのコーナーをお届けします。第2回となる今回は、若手アーティストの光あふれる部屋をご紹介。

白い部屋に鮮やかな色彩が踊る、
アーティスティックな部屋

ここは建物最上階の屋根裏部屋だから、とにかく一日中光が入って明るいのが自慢。自宅兼アトリエなので、資料や作品の色彩が生き生きと映えるように壁も梁も真っ白にペイントしました。

ショコラ色のソファは、ノルマンディのヴィンテージショップで見つけたジャック・ガルシアのデザイン。両親が同じソファを使っているのですが、今では高額になってしまって。だから田舎で比較的手頃な価格で出会えたのはすごくラッキーでした。

パリ13区のチャイナタウンで買ったドラゴン刺繍のクッションや、イギリス土産のタータンチェックのカバーなど。フレンチシックをベースにアジアやオリエンタルな雑貨を加えたミックスを楽しんでいます。スタイルを決めないことが、私のスタイルなんです。

ピーコックグリーンの肘掛け椅子もノルマンディで買ったアンティーク。両親から譲り受けた丸いテーブルの上には季節の花を欠かさずに飾るのがサシャのこだわり。


美しい本が語りかける
インスピレーションを得るワークスペース

大学進学をきっかけに一人暮らしを始めたので、このアパルトマンに住んで今年で5年目になります。美大はとにかく課題が多く、学校のアトリエだけでは終わらないから、必然的に家での作業が増えて、いつの間にか制作部屋のようになってしまいました(笑)。

創作する時のインスピレーション源は、古い本。表紙の装丁や題字のフォント、中ページのデザイン、レイアウトなど眺めるだけでインスパイアを受けることが多いのです。だからパリはもちろん、NYやロンドン、オランダなど世界各地の本屋さんやアンティークマーケットで素敵な本を見つけてはせっせと持ち帰る。気がついたら膨大な量の本に埋もれてしまいましたが、このコーナーこそ、私のクリエーションの原点であり、大切なワークスペースです。

「一見雑然としているようで、実は使いやすく規則性があるの(笑)」とサシャ。資料やペン、コインが並ぶ作業テーブル。


ギャラリーのようにときどきレイアウトを変えて、インテリアの気分転換を

窓辺の本棚の上は好きなものだけを飾ったアートギャラリーのように自由なコーナーです。大好きなNY在住の造形作家、ダンカン・ハナーのうさぎの絵、古いフランスのリトグラフや、オランダ人作家のマーティン・マックヌルティの石のオブジェ、雑貨屋さんで買った犬の置物などをディスプレイ。ここは定期的にレイアウトを変えます。小さなエリアでもちょっと変えるだけでインテリア全体の雰囲気が違って見えるから気分転換になるんです。

曽祖父、セルジュ・ポリアコフの抽象画が飾られた寝室の暖炉の上には、アンティークの燭台やインド土産の小物入れ、NYで買ったりんごのオブジェなどが並ぶ。
1年前の卒業制作展のために描かれたサシャの作品は、自然の風景をモチーフにグラフィカルな色彩で着色したパステル画の数々。
読みかけの雑誌やカラフルな刺繍が可愛い中国製の靴をディスプレイした室内の階段。ステップを上がると小さなバルコニーに通じている。


まるでキャンバスのように真っ白にペイントした、壁や梁にサシャならでの色彩感覚で飾られるアートやオブジェ。なにげなく積まれた本や置かれた絵の色合いまで計算されているようで見入ってしまいました。気分転換のために、本棚や暖炉のうえのディスプレイを変えるというのも面白いですね。さて、3人目のパリジェンヌの家は、 縫製工場を全面改造したもの。7月28日(火)にUP予定です。お楽しみに♡


Profile

Sacha Flock-Poliakoff
(サシャ・フロック=ポリアコフ)

20世紀を代表する現代画家の巨匠として知られたセルジュ・ポリアコフのひ孫で、父はイラストレーターのフロック、母はアートギャラリーの経営者という生粋の芸術一家の出身。国立芸術大学で絵画を専攻し、在学中から個展を開催するなど注目の若手アーティスト。
@sachaflochpoliakoff


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