Fashion信じるおしゃれ

【人生はコーナーに表れる】”真っ白”をベースにした、ミュージアムのような空間

インテリアのリレー連載。年齢もバックグラウンドも異なる8名のパリジェンヌをフィーチャーし、それぞれのご自宅のお気に入りのコーナーをお届けします。今回はまるでミュージアムのような、70代のご夫妻の住まい 。さまざまジャンルのアートがリズミカルに並び、写真で見ているだけでもうっとりとため息が出てしまいます♡

壁、床、本棚、テーブルーー
すべてを白で統一した、
アートギャラリーのようなインテリア

モンマルトルの丘の頂上に佇むサクレクール寺院を望める、リビングの広い窓。下を覗くと中庭の緑が目に優しく飛び込んできます。そんなパリらしい景観が気に入って、このアパルトマンを購入して20年が経ちました。

結婚当初から真っ白なインテリアが好きで、床も壁もテーブルも全て白で統一しています。美しい白をキープするために、こまめに床や、棚などをクリーンナップ。気がついたときに少しずつ掃除しているから、そんなに大変でもないんですよ。ときどき夫からは、ちょっとマニアックだと笑われますが(笑)。白のインテリアに囲まれていると背筋が凛と伸びて、日々の暮らしが新鮮で気持ちよく過ごせるんです。

ONとOFFで表情を変える、
楕円形のテーブルがリビングの主役

建物の構造上、リビングの中心には太い柱があるのですが、その円柱を生かしてダイニングテーブルをオーダーしました。設計をお願いしたのは、夫の友人の建築家です。楕円のフォルムがまるでシャルロット・ペリアンの作品みたいで気に入っています。

料理自慢の夫は、友人や家族をディナーに招待するのが大好きで、そんな時はヴィンテージのイームズチェアを置いて、ディナーテーブルに様変わり。普段はできるだけシンプルさを心がけて、正面に飾ったクリストフ・ルブルトンの抽象画や、イタリア人工業デザイナーのエットレ・ソットサスの照明などが生き生き映えるように、ミニマルな演出を楽しんでいます。

Les Grands Trans-parents(大きな透明度)とシルクスクリーン印刷でマン・レイのポエムが描かれたミラーは、ベルギーのアートギャラリーで購入。
今年で結婚25周年を迎えたジョアンナと夫のイヴ。写真は5年前に挙げた結婚パーティの時のものだそう。ジョアンナの着用しているドレスは、大好きなYohji Yamamoto。NY土産のスノードームと。

気鋭のデザイン集団「メンフィス」を設立した、イタリアの巨匠デザイナーエットレ・ソットサス。彼の2脚の肘掛椅子をカラフルなアクセントにしました。アメリカの建築家兼デザイナー、ジョージ・ネルソンのローテーブルと、クリストフ・ルブルトンの絵画を飾って、コンテンポラリーアートのギャラリーを連想させる”静”の空間に仕上げました。

生き生きとしたリズムを醸し出すエットレ・ソットサスの肘掛椅子や、仏人画家の現代アート、ジョージ・ネルソンのテーブルなど、時代も背景も違う作品がモノトーンの空間に見事に調和する。
イタリアのモダニズムアーティストとして知られる、エンツォ・マリの作品。蘭の鉢植えを入れたり、時には季節の切花を飾り、花器として愛用している。
ニュージーランド出身の現代アーティスト、トッド・ナルベイの絵の前には、繊細な青が美しいアンティークのガラス器。動物のようなフォルムがユニークなポットはオランダで購入したもの。


静かなモノトーンに
現代的なデザインオブジェを合わせ
軽やかな印象に

寝室は白からライトグレーのグラテーションで落ち着いた雰囲気に。フランスの老舗「イヴ・ドローム」の手触りが好きで、ベッドリネンとタオルは長年このブランドを愛用しています。年2回のセール時期にボンマルシェでまとめ買いすることが多いです。

窓際に置いたイタリア人デザイナーのエットレ・ソットサスのデザインチェアや、コンランショップの照明など、大好きなモダンテイストで心地よいインテリアにまとめました。

寝室の暖房の上に好きなオブジェを配して小さなギャラリースペースに。夫の友人が制作したポートレートの彫刻と多肉植物のコーナー。
香水は1905年創業のフランスの老舗「Detaille(デタイユ)」のファン。自然の原料から作られる爽やかな香りと、エレガントなパッケージデザインが好きで、香り違いで何本も愛用中。特にローズの香りのManudouce(右)や、オレンジの花をベースにしたeau Rafraichissanteが最近のお気に入り。  


モダンで洗練された、美しい「白」の空間でしたね。ジョアンナさんの、オールホワイトの装いや色っぽいショートヘア、そして凛とした佇まいも印象的でした。さて、このリレー連載も、いよいよ次回で最終回……。8月14日(金)にUP予定なので、お楽しみに。


Profile

Johanna Van Vliet
(ジョアンナ・ヴァン ヴィリット)

モダンでユニークな建築物や、おしゃれな美術館などが人気のオランダ第2の都市、ロッテンダム近郊に生まれる。アムステルダムの大学卒業後、ファッションを学ぶために渡仏。フレンチブランドや、セレクトショップのバイヤー兼アドバイザーとして長年にわたり、モードに関わる。リタイアした現在は、毎朝のヨガやワークアウトを欠かさないヘルシーなライフスタイルを満喫中。


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