Life style今日も一日おつかれさま
メメント・モリ(死を想え)。その大切さは、古代から賢人たちが説き続けてきました。
私も交流のあった哲学者の故池田晶子さんは、生前に「墓碑銘(ぼひめい)」という題のエッセイを書いています。ローマでは、古くから墓に故人の好きな言葉を刻む習慣があるのだとか。参拝者は死者たちの残した名言を楽しみながら墓地を歩いていると、誰もがある墓の前で立ち尽くす。そこに刻まれたのは「次はおまえだ」という文字だった、というお話です。
日頃は忙しさの中に忘れ去られがちですが、死にまつわる問いは、名誉欲や所有欲などさまざまな執着を手放すことを促してくれます。最近は「終活」が盛況ですが、死に向き合うせっかくの機会が、お金や手続きの話に終始することが多いのは、もったいないことです。
たまには、死を想ってみませんか。
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