「貪る」と「いただく」

お菓子が好きです。好きすぎて、つい食べ過ぎてしまいます。

「一口だけ」と思いながら空けたお菓子の袋は、いつの間にか空っぽに。お腹がいっぱいになって、気持ちは後悔でいっぱいです。

このように、満足を求めてやまず、やがて自分自身を傷つける心のはたらきを「貪欲（とんよく）」と言います。この欲は放っておくと膨らみやすく、自分の意志で抑えつけることも難しいもの。

私は何度かの大きな後悔を経て、食前と食後に手を合わせることをいっそう心がけるようになりました。お菓子に手を伸ばす前に手を合わせることで、貪らず大切にいただこうという気持ちがわいてくるのです。

（でも、ときどきは貪欲に負けることもあるのですが…）

Profile

木原祐健
（きはら ゆうけん）
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』（河出書房新社）など。