Life style今日も一日おつかれさま

手ですることを足でする

扇風機のスイッチ。体組成計のボタン。足下にあるものをついつい足の指で押してしまいます。

浄土真宗の教えを分かりやすく広めた蓮如(れんにょ)というお坊さんは、「神や仏に馴れてくると、手でするべき事を足でするようになる」という言葉を遺しています。

その言葉は「馴れていくと、神仏にも尊敬する方にも気安く接してしまうから、馴れ親しんできたからこそ、深く慕う心を持つのが大切である」と続きます。

家族や友人、親しい方々に気安く接するあまり「足でする」ことをしていないだろうか。親しい関係にこそ、新鮮な敬意を持って接したい。

このところ扇風機につきはじめた埃を払いながらそう思いました。


Profile

木原祐健
(きはら ゆうけん)
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』(河出書房新社)など。