Life style今日も一日おつかれさま

【お坊さんにお悩み相談】進学に対して移り気な長男に、どう接していいかわかりません。

何気ない毎日の中でも、仕事や家族、子育て、人間関係など、なんだかモヤモヤしてしまう「お悩み」は湧いてくるもの。そこで、今回は「今日も一日おつかれさま」のコーナーで、ご執筆いただいている僧侶のみなさまに、お悩みを解決するためのヒントをいただきます。

事前にご応募いただいたお悩みに、3人の僧侶がお答え。3週に渡ってお届けします。お一人目は、お寺カフェの店長や、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う 木原祐健(きはら ゆうけん)さん。

先行き不安なこの時代に生きる私たち。みんな同じ悩みではないけれど、ひととき、心をほぐすきっかけになれば幸いです。


〜 お悩み 〜

移り気な長男の未来が不安です。
どう接したらいいですか?

昨年現役受験に失敗し一年浪人した今年、一校だけ受かった大学に進学することになりました。それまでの志望学部ではなく福祉学部でした。第一希望の学校に受かったとしてもこっちに行く! とまで言った学校でしたが、年が明けてからは、そこに何故か公認会計士になりたい! という話まで加わり…

関連学部の受験を増やすことを提案するも、福祉も興味あるからとそのまま受験。結果そこしか合格しませんでした。(福祉学部はこの一校のみ)。 すると、最後の発表の前から、公認会計士に関する学校の資料などを取り寄せはじめ、福祉の話は一切しなくなりました。
こんな移り気な息子に不安しかありません。どのような気持ちでこの子に接したらよいでしょうか? 宜しくお願いいたします。

まゆみさん 48歳


〜 お悩み解決のヒント 〜

今ご自分ができることをしながら、氷が溶ける日を焦らず待つのもよいかもしれません。

まゆみさん、ご相談をお聞かせいただきありがとうございます。
いただいた文面から、息子さんを案じ、ご不安に思う気持ちがひしひしと伝わってまいります。息子さんの変わりやすい言動を間近に受け、接し方にどれほど悩まれることでしょう。

ご相談を読ませて頂く中で、ふと学生時代の自分を思い出しました。当時の私は志望する大学に落ち、無為に大学生活を過ごしておりました。卒業後に縁あって仏教と出会い、三十歳を過ぎて仏門に入ることになりますが、それまで家族にどれだけ心配をかけたことか…
息子さんはご自分の道をその都度真剣に考えているのかもしれません。しかし、土台となる経験が伴わないうちはなかなか考えがまとまらず、行動も一定しないものです。多感なご年齢、ご入学前の不安定な時期ということを含めますと、息子さんとまゆみさんのお悩みもしばらく続くのではないか、とお察し申し上げます。

仏教に「氷多きに水多し」という言葉があります。悩みの多い方こそ、それが溶けたときの喜びも大きいものです。今ご自分ができることをしながら、氷が溶ける日を焦らず待つのもよいかもしれません。

そうそう、大学のお話を聞いて思ったことは、今の学校に受かったこともひとつのご縁だということ。関わりの中で人は育つものです。大学もオンライン化が進んでいますが、人と出会うことから受ける学びは非常に大きなものです。新しい生活、息子さんが良い仲間と出会われることを応援しております。



お答えいただいたのは…

木原祐健
(きはら ゆうけん)
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。
著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』(河出書房新社)など。


木原さんを含めた、僧侶のみなさんによるリレー連載『今日も一日おつかれさま』は、毎週、月曜日・木曜日・日曜日の22:00に更新しています。一日の終わりに読むと、肩の荷がふっと降り、スイッチをオフにできます。こちらも併せて、ぜひご覧ください。

※『今日も一日おつかれさま』はプレミアム会員限定記事になります。
※プレミアム会員については、こちらを参照ください。