Life style今日も一日おつかれさま

【お坊さんにお悩み相談】夫との意見の違いを受け入れられません。

何気ない毎日の中でも、仕事や家族、子育て、人間関係など、なんだかモヤモヤしてしまう「お悩み」は湧いてくるもの。そこで、今回は「今日も一日おつかれさま」のコーナーで、ご執筆いただいている僧侶のみなさまに、お悩みを解決するためのヒントをいただきます。

事前にご応募いただいたお悩みに、3人の僧侶がお答え。3週に渡ってお届けします。先週の木原さんに引き続き、2週目をご担当いただくのは、浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守、三宅千空(みやけ ちひろ)さん。

先行き不安なこの時代に生きる私たち。みんな同じ悩みではないけれど、ひととき、心をほぐすきっかけになれば幸いです。


〜 お悩み 〜

夫との意見の違いを受け入れられません。

夫のことについて悩んでいます。我が家には1歳、3歳、6歳の男児がおり、毎日楽しく過ごしています。
夫は育児にも積極的に参加してくれるのですが、方針の違い、育ってきた環境の違いを、私が受け入れることができません。私はもともと、自分との違いを受け入れるのが苦手なタイプなのですが、夫の場合は特に受け入れ難いです。
夫とは8年間くらいお付き合いして結婚したので、何か惹かれるところがあったのだと思うのですが、今、それがわからなくなり嫌いになりそうです(笑)。子育てでも、仕事でも尊敬できる部分が見つからず、どういった感情なのか、自分でもわからなくなってきています。自分との違いを受け入れる修行、と思いたいところなのですが、なかなかうまくいきません。心の在り方を教えていただきたいです。

りちゃさん 38歳



〜 お悩み解決のヒント〜

違いに気づけてよかった。違いは違いのままでいい。

私も「違う」ということがどうしても受け入れられず「私の思いは聞いてもらえない」と、パートナーとよく衝突していました。聞いてもらえないと思いこんでいるので、話をすることも億劫になり、話さないのに「違う違う!」と爆発したり。近くにいればいるほど、相手の足りないところばかりが目に付くようになってくるんですよね。

あるとき「どうして僕のことはそのまま聞いてもらえないの?なんで直そうとばかりするの?どうして否定ばかりするの?」と言われて、はたと気付きました。否定をしているつもりはなかったのに、思い通りにならないことばかりに気持ちがいって「お互いに思いがある」ことに気付いていなかったのです。
相手にも培ってきた軸があったのだと気づいたら、だんだん「違いはどこか」「同じところはどこか」に気付けるようになってきました。(まだまだ道半ばですが)

好きになった人の全てを好きでいなくてはならない、受け入れなくてはならない…と、知らず知らずのうちに自分に課してしまうところが、人にはあるのかもしれません。
私自身そんなときは「ここが好き」「これは納得できない」と細かく分解して考えてみています。そうすると、「私にとってここが好き」「嫌い」とは、あくまで私目線なことに気付きます。
「自分はこういう理由でこれを大事にしているんだ」ということを伝えて、思うとおりにならないことの中から、互いの「大事」を汲んでいく作業を何度も繰り返してみてはいかがでしょうか。

「青色青光」(しょうしきしょうこう)極楽浄土では、青い花は青い光を放ち、とお経に説かれています。野に咲く花も、違う種類の花をつけたり、違う色に咲いたりはしないと思います。その花はその花を精一杯咲かせているんですね。りちゃさんの「大事」とパートナーさんの「大事」は、違っていいし、それぞれが大切。「受け入れられない、違うと思っている私がいる」でいいなあと思います。


お答えいただいたのは…

三宅千空
(みやけ ちひろ)
浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守(住職の配偶者)。「グリーフケア〜たいせつなものを失ったことを抱えながら過ごしてもいい、嬉しいときも困った時もお寺はあなたと一緒だよ」ということを、近所に住む子どもや親たちに気軽にお寺に寄ってもらうことを通して、伝えたいと思っています。


三宅さんを含めた、僧侶のみなさんによるリレー連載『今日も一日おつかれさま』は、毎週、月曜日・木曜日・日曜日の22:00に更新しています。一日の終わりに読むと、肩の荷がふっと降り、スイッチをオフにできます。こちらも併せて、ぜひご覧ください。

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