Life style今日も一日おつかれさま
何気ない毎日の中でも、仕事や家族、子育て、人間関係など、なんだかモヤモヤしてしまう「お悩み」は湧いてくるもの。そこで、今回は「今日も一日おつかれさま」のコーナーで、ご執筆いただいている僧侶のみなさまに、お悩みを解決するためのヒントをいただきます。
事前にご応募いただいたお悩みに、3人の僧侶がお答え。3週に渡ってお届けしてきましたこの企画、今週でいよいよラストの週となりました。
先週の三宅さんに引き続き、3週目をご担当いただくのは、日蓮宗法源寺・林應寺住職。お寺での朝掃除の会「テンプルモーニング」を全国に広めるために活動中の横山瑞法(よこやま ずいほう)さん。
先行き不安なこの時代に生きる私たち。みんな同じ悩みではないけれど、ひととき、心をほぐすきっかけになれば幸いです。
〜 お悩み 〜
高齢の両親の暮らしについて、様々な選択を迫られることを想像し、悩んでいます。
こんにちは。”今日も一日おつかれさま”で、いつも気づきと学び、癒しをいただいています。今回はとてもタイムリーなお悩み募集だったので、悩みを書かせて下さい。
昨年末に父が腰椎を骨折し入院し、先日退院しましたが、車椅子とベッドでの生活となりました。風邪による体調悪化も伴い、認知症も進んでしまいました。現在は母とサービス付き高齢者住宅に住んでいるので、とりあえず施設の力と介護サービスを使って、私も手伝っていくことにしました。ただ、高齢の母の心身の負担が増えてしまうため、二人バラバラで生活など、これからの両親の暮らし方を考え、選択していかなければならないなと悩んでいます。お言葉をいただけたら有難いです。宜しくお願いします。
Mamiさん 55歳
〜 お悩み解決のヒント〜
「決めすぎない」こと。その時々で状況は変わるから。
そして、あなた自身が元気でいてください。
実は私、2年前まで高齢者福祉施設で働いていました。いわゆる兼業僧侶でした。およそ9年間の経験の中で多くのお年寄りとそのご家族と出会い別れてきました。一つとして同じようなケースはなく、それぞれに悩み、選択に迷う方たちを見てきました。型が決まった介護サービスに当てはめるだけでは、人の人生を本当の意味で支えることはできず、サポートする私も一緒に悩み、迷いながらでした。
そんな私から言えることはお互いに「決めすぎない」ということです。高齢期の方はお父様のケースのように何かをきっかけに認知症の症状が進んだり、生活における障害が増えてしまったりと、突然劇的に対応方法を変えなければならないことが起こります。
「あの時、ああ言ったから」「この前そう決めたら」という事にこだわり過ぎると、帰ってお互いに苦しくなってしまうこともしばしばあります。何より人は変わるし、その時、その状況にならないと分からないことや見えないことがたくさんあります。お話しできるうちは、よくコミュニケーションをとってお互いの思いを伝えて確認し合ってください。そして、いざご両親が自分の意向を伝えられなくなったら、一番よく知るあなたが選択をしなければなりません。
ベストな選択というのは、選択するその時には分かりません。未来のことは誰にも分かりませんから。でも、選んだ方を「これで良かった」と言えるように行動していくことはできます。しかし、無理は禁物です。あなた自身が元気でないと両親の介護どころではありません。任せるところは介護サービスに任せて、お体大切にしてください。
お答えいただいたのは…
横山瑞法
(よこやま ずいほう)
1981年生。山梨県南アルプス市にある日蓮宗法源寺・林應寺住職。祖母、妻、3人の子どもと暮らす。趣味はキャンプ・アウトドア。お寺での朝掃除の会「テンプルモーニング」を全国に広めるために活動中。山梨県の超宗派僧侶のグループ坊主道に所属し、多職種の人たちや学生と共に活動する一般社団法人SOCIAL TEMPE理事を務める。
Instagram:@zuiho.yokoyama
横山さんを含めた、僧侶のみなさんによるリレー連載『今日も一日おつかれさま』は、毎週、月曜日・木曜日・日曜日の22:00に更新しています。一日の終わりに読むと、肩の荷がふっと降り、スイッチをオフにできます。こちらも併せて、ぜひご覧ください。
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