Life style今日も一日おつかれさま

にぎやかな対話としての読書

私の部屋には小さな本棚があり、その一角に古い仏教書のコーナーがあります。お檀家のおじいさまの形見としてご家族の方から分けて頂いたものです。

本の中にはびっしりと書き込みがあります。青年期のおじいさまが考え、悩んだあとが手に取るように分かります。

読書は、著者と読者の時を越えた対話だと言われます。

書き込まれた文字を眺めつつ本を読んでいると、著者だけでなく在りし日のおじいさまとも一緒にいるような気がします。

『仏教では〜』と語る著者に

「わかりません」と私。

「わからんねえ」と笑うおじいさま。

外に出られない日は、そんな読書をして過ごします。


Profile

木原祐健
(きはら ゆうけん)
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』(河出書房新社)など。