Life style今日も一日おつかれさま

アゲハチョウのひととき

夏の終わり、お寺の庭でアゲハチョウが飛んでいます。昼下がりの太陽を浴びながら、二羽、三羽、ひらひらと舞っています。

「なんでこんなに蝶が遊んでるんでしょうねえ」

お寺にお越しの方がお茶を飲みながら、楽しそうに尋ねます。

「お寺だからでしょうか、この間までお盆でしたね」

蝶はあの世とこの世を行き交う生き物とも言われ、成長するたびに姿を変えて美しい羽を持つ成虫になることから、輪廻転生の象徴と考えることがあります。蝶の向こうには木々があり、新しくお花を供えられたお墓が見えます。

「そうねえ…」

ともに庭を眺めます。静かな時間が流れていきます。


Profile

木原祐健
(きはら ゆうけん)
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』(河出書房新社)など。