牛乳と仏教

早坂さんに続き、牛乳のお話です。

お坊さんは「いのちを奪わない」という考えから、動物性の食べ物を自ら口にしないという決まりがあります。その決まりの解釈は時代や宗派などにより違いますが（私の所属する浄土真宗では、肉や魚もありがたくいただきます）、面白いことに牛乳を「特別に食べてもよいもの」とする考え方があるそうです。

これは、長期間の苦行で心身ともに疲れていたお釈迦様が乳粥の施しを受けて活力を取り戻し、七日七晩の坐禅を行って悟りをひらかれたという故事が元になっています。

忙しい時期ですが、根を詰めすぎていませんか？ ホットミルクを一杯、というのもいいかもしれませんね。

Profile

木原祐健
（きはら ゆうけん）
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』（河出書房新社）など。