Life style今日も一日おつかれさま

しぶ柿の しぶがそのまま 甘味かな

前回に続いて柿の話。

渋柿はそのまま食べると渋いものですが、渋抜きをするととても甘くなります。「渋抜き」といっても渋味がなくなるのではなく、寒風や太陽の光によって柿の水分が抜け、渋味の成分が変質して甘味が増すのだとか。

私達も柿と同じように、心に「しぶ」を抱えているのではないでしょうか。怒りやすかったり、悲しみやすかったり……。生まれ育つ中で自然と身につけてしまう心のクセです。

それでも、寒風にさらされ、光やあたたかさに触れる時間の中で、「しぶ」は甘味となっていく。欠点と思っていたものも、大切な魅力に変わっていくことがあります。

干し柿を見ながら、自分の「しぶ」と大事に向き合ってみようと思います。


Profile

木原祐健
(きはら ゆうけん)
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』(河出書房新社)など。