青い柚子の香り

お寺の境内にはうっそうとしたエリアがあり、一番奥の大きな木は毎年丸い実をつけます。

つい最近、それが柚子だと判明しました。スーパーで見る黄色い柚子よりずいぶんワイルドで、まだまだ青いです。

お寺にやってきた方から「青い柚子も食べられるのよ」というアドバイスを聞き、ためしに収穫をしてみることに。

トゲのついた枝をかきわけると、確かに丸い柚子の実がありました。お寺の台所で皮をすりおろすと、若い柚子の鮮やかな香りが広がります。

その香りには新しいことに触れる喜びが含まれているような気がしました。

Profile

木原祐健
（きはら ゆうけん）
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』（河出書房新社）など。