光、音、香り、それぞれの記憶

ここ数年、「それぞれの3.11」という小さなワークショップに参加しています。昨年は都内のお寺で、今年は都内近郊のお家で行われました。

毎年その場に集まった人達とテーブルを囲み、お茶とお茶菓子をいただきながら思い思いに時間を過ごします。今年は震災に関する冊子を眺め、ハーブを加えた小さなキャンドルを作りました。

14時46分。黙祷し、短いお経を読みます。

テーブルを囲んだ人達は、一人ずつ、心の中にあるものを言葉にします。他の人達はその声を静かに聴きます。部屋の中に静かな波紋が広がります。

夕方に手作りのキャンドルを灯します。ゆらゆらと光る炎の中で蝋とセージの香りが漂いました。

Profile

木原祐健
（きはら ゆうけん）
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』（河出書房新社）など。