何気ない毎日の中でも、仕事や家族、子育て、人間関係など、なんだかモヤモヤしてしまう「お悩み」は湧いてくるもの。そこで、今回は「今日も一日おつかれさま」のコーナーで、ご執筆いただいている僧侶のみなさまに、お悩みを解決するためのヒントをいただきます。
事前にご応募いただいたお悩みに、3人の僧侶がお答え。3週に渡ってお届けします。先週の木原さんに引き続き、2週目をご担当いただくのは、浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守、三宅千空(みやけ ちひろ)さん。
先行き不安なこの時代に生きる私たち。みんな同じ悩みではないけれど、ひととき、心をほぐすきっかけになれば幸いです。
〜 お悩み 〜
家族経営で働いていますが、妹に毎日怒られます。どうやってストレス解消すればいいでしょうか。
家族経営で、両親と妹と毎日仕事をしていますが、妹に毎日怒られる日々に疲れます。妹が正論だとはわかっているし、妹の言うとおりにできれば一番いいと思っています。私の仕事が遅いのだと思いますが。
逆らってさらに喧嘩をするつもりはなく、受け流そうと思うのですがイライラしてしまいます。もういっそのこと、家族経営を辞めたいとも思います。家族経営以外の経験がないので、自分が仕事の人間関係のむずかしさをわかっていないだけなのか、と悩みもします。
自分のテンションを上げて仕事に向かい、指示に従い、ダメ出しをされ、休日には底まで落ちてしまい、子供はまだ小さく、手助けが必要な年頃なのに、昼過ぎまでベットから出られない日もあります。自分との向き合い方、ストレス解消法について悩んでいます。
ゆずさん 30歳
〜 お悩み解決のヒント〜
いつでも「自分を労えた」と思える、タネをいくつか持っておくのがおすすめです
ご家族だからこそ、遠慮がなかったり、公私の別がつけにくかったりと、外で割り切って働くのとはまた別の、大変なことも多いと思います。私もお寺をお預かりして家族と四六時中一緒にいる身なので、「そうだよねそうだよね」と、共感しまくりです。
私は実家の妹から、離れて住んでいても、いまだにいろいろ言われます。正しいとわかっていても、そうできない自分に、歯がゆい思いをしたりもします。
身内だとつい遠慮がなくなり、言い回しを考えずに「受け止めてもらえる」前提で伝えてしまいそう。ふとそれに気づいて、私自身、妹に言われたときには「『あなたは』そう思ってるんだね」と言葉の上で受け止めるようになりました。できるできないとは別のこととして。すると「聞いてもらえた」という事実に、妹も少し納得して気持ちが収まるようです。
また、妹さんは、ゆずさんがテンションをあげてがんばってらっしゃることによって、ゆずさんがしんどい、ということに気付いていないのかもしれません。妹さんに対して「こういわれるのはしんどいんだよね」と伝えていいと思います。現状を伝えることはとても大事だと思います。
さて、ここが一番大事です。ゆずさんは毎日、とても頑張ってらっしゃいます。そんなゆずさんご自身に対しては「自分をちょっと回復させる好きなこと」を見つけたり思い出したりしてほしいなあと思います。
日常の中でできそうな、例えばカフェオレをお気に入りのカップで飲むとか、好きな音楽を聴くとか。自分がどうしようもなく疲れていたりへこんでいたりする時に、自分をねぎらうタネをいくつか持っておくとよさそうです。小さいことでもできるだけたくさん見つけておくと、いつでも「自分をねぎらえた」と思うことになっておすすめです。
それすらも難しいときは、私も子どもが小さいときにやった「子どもとお布団の中でゴロゴロ大会」がおすすめです。「自分はよくやった、よくやってる」と自分に声をかけること。お布団の海でゆっくりしてみてください。イベントにしたらなんとなく罪悪案も減って(本当は罪悪感なんて感じなくていいのですが)楽しんだり大いにゆったりしていただけたらなあと願っています。
お答えいただいたのは…
三宅千空
(みやけ ちひろ)
浄土真宗本願寺派 教西寺僧侶/坊守(住職の配偶者)。「グリーフケア〜たいせつなものを失ったことを抱えながら過ごしてもいい、嬉しいときも困った時もお寺はあなたと一緒だよ」ということを、近所に住む子どもや親たちに気軽にお寺に寄ってもらうことを通して、伝えたいと思っています。
三宅さんを含めた、僧侶のみなさんによるリレー連載『今日も一日おつかれさま』は、毎週、月曜日・木曜日・日曜日の22:00に更新しています。一日の終わりに読むと、肩の荷がふっと降り、スイッチをオフにできます。こちらも併せて、ぜひご覧ください。
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