Your style is you大草直子の信じるおしゃれ

2020.02.07

【心地よい家。心地よい時間】快適に暮らすための自分らしい家の飾り方 by 一田憲子

今回から4回にわたって登場していただくのは編集者の一田憲子さん。『暮らしのおへそ』など、衣食住を通して日々を心地よく暮らすための提案をする雑誌や書籍の編集・執筆をされています。そんな彼女の自宅は、取材を通して出会ったアートがさりげなく飾れている素敵な空間。まずは一田家のアートやその飾り方を紹介していただきます。

好きなものを買える範囲で
少しずつ集めました

一田さんが座っているソファはパシフィックファニチャーのもの。「普段は、こんなふうにソファに座ってゆっくり本を読む時間はなかなかとれなくて……。ソファは疲れて倒れこむ場所になってます(笑)」ふすまの横に飾られているクロスモチーフは恩塚正二さんの作品。白いワンピースはミシェル・ボードアン。  

我が家に飾ってあるアートは、取材を通して出会った作家さんのものが多いですね。取材をきっかけにご縁ができて、展示会や作品展に伺って購入しています。無理をせず、買える範囲のものを少しずつ集めてきました。さまざまな作家さんのものがありますが、選ぶのが私なので、どことなく似ていて。意識して買ったわけではないのですが、気がつくと、クロスモチーフや箱ものが多く集まっていました(笑)。いろいろ飾ってはいますが、もしかしたらそんなところがリンクして調和が取れているのかもしれません。

エッセイストの平松洋子さんの娘さんの平松麻さんの作品。一田家の玄関の壁に飾られている。
キッチンのキャビネットの上に置かれたやかんの絵は小野セツローさんの作品。ソーダマシンなど、最新のものの中に、さりげなく絵が置かれていて、暖かみのある空間に。

玄関、居間、台所、廊下、至るところにアートを飾っていますが、たいていはサイズも小さめで色合いも我が家になじむ、自然の色のものが多いですね。

壁が少ない日本家屋だから
飾るのは棚やテーブルの上

玄関の靴箱はもともと学校で使われていたもので福岡にある骨董店で購入。あえて低めに設置された照明が、靴箱の上に置かれたオブジェや花を照らしています。水仙が活けられた花器はヨーロッパの古いもの。ギャラリーフェブでフラワースタイリスト平井かずみさんの展示が行われているときに手に入れたもの。

日本家屋って壁が少ないんです。ふすまと障子ばかり(笑)。ものを飾る場所も棚やサイドテーブルの上が多くなりました。壁際に飾るのは長押に引っかけたり、置くことのできる小さなものだけ。家具は新しいものより古いものの方が、築40年以上の我が家には馴染むんですよね。ですから、その上に置くものも同じく年月を重ねたものやそんな雰囲気を持ったものが自然と多くなりました。

居間に置かれた棚は、内田鋼一さんの鉄錆膳をふたつ重ねたもの。上には季節の花と、岩田美智子さんの作品の箱が。箱ものもクロスモチーフに並んで一田家に多く飾られている。鉄錆膳は来客が多いときにサイドテーブルとして使っているそう。
大きさ違いで並んでいるシルバーの容器はタイで購入したもの。中には腕時計が入っている。木工作家の井藤昌志さんが作ったオーバル容器にはアクセサリーを収納。 壁のオブジェは、岩田美智子さん作。

私は面倒くさがりなので、置き場所を決めないと片付けないんです。だから、室内に飾りのように置いているものも、実は収納になっていたりします。中はごちゃっとしていたりもしますが、とりあえず仕舞っておけばすっきり見えるので、蓋のあるものが多いですね。

ソファの横のサイドテーブルには福岡のクランクで買ったランプやキャンドル、安部太一さん作の陶器の人形が並んでいる。
長押には遊び心ある飾りが。照明のリモコン置きになっているというすくい網は“中古(ちゅうぶる)”ブームのときに買ったもの。“中古”というのは、アンティークほど年を経ていない、骨とう的価値のない古いもの。



家に飾られているアートや家具について尋ねると、丁寧に作家名や買った経緯などを教えてくれた一田さん。すべてのものへ愛情持って使っていることが垣間見られる瞬間でした。


COLUMN
編集部から一田さんへ

代々木上原にある「終日フラワー」で作ってもらったブーケ。クリスマスローズなど深海のある赤い花を混ぜ、落ち着いた暖かみのある雰囲気にしました。


Profile

一田憲子

OLを経て編集プロダクションに転職。その後フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などを手がける。 2006年、企画から編集、執筆までを手がける『暮らしのおへそ』を、2011年『大人になったら着たい服』を(共に主婦と生活社)立ち上げる。 そのほか、『天然生活』『暮らしのまんなか』『クレア』『LEE』などで執筆。 全国を飛び回り取材を行っている。心を刺激したコトやモノを、自身の文章で綴ったWEBサイト「外の音、内の香」」も人気。

House & Model/ Noriko Ichida
Photograph/Akari Nishi
Text/Rina Koyama
Edit/Ayako Suzuki

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