インテリアのリレー連載。年齢もバックグラウンドも異なる8名のパリジェンヌをフィーチャーし、それぞれの自宅のお気に入りのコーナーをお届けします。今回はインテリアスタイリストの住まい。5年前に大々的にリノベーションしたというご自宅は、モノトーンが基調。それでいて、リラクシングなムードが漂う家具や色の使い方、そしてコーナーの飾り方は参考になるティップス満載です。
高い天井を生かして、
夢のあるロフト建築にリノヴェーション
自宅から徒歩数分の近距離に気持ちのいい小さな公園があって、リビングの窓から緑が見えるんです。その景観が気に入ってこのアパルトマンに引越しました。最近では公園を囲むように、可愛いカフェや、美味しいワインバー、素敵なヴィンテージショップなどが増えて、急速に進化している人気エリアです。
5年前に購入した時に3か月かけて壁のペイントや、バスルームのタイル貼り、そしてロフトを作って大々的にリノべーションをしました。屋根裏感覚の小さなロフトは、私の仕事部屋として活躍中。見晴らしのいいワークスペースで仕事もはかどり、大満足です。
テーマはモノトーンの
「メゾン・ド・カンパーニュ」
屋根裏風な太い梁や、斜めの窓枠など室内構造のチャーミングなディティールがお気に入りです。テーマというほど大げさではないけれど、”Maison de Compagne à Paris(メゾン・ド・カンパーニュ ア パリ)=パリの中の田舎”がイメージです。都会に暮らしていながら、どこかナチュラルなインテリアが好きなので、白を基調にまとめました。また、暖炉の大理石の黒を生かして、一画だけ墨黒でペイント。そこに好きなオブジェを飾って、アートなコーナーに。
「IKEA」のソファに、スペインのライフスタイルショップ「ムイムーチョ」のタイダイ柄クッション、「ハリー・ベルトイヤ」のチェア、オランダ人デザイナー、アイ・リン・ヘイネンの照明など、様々なモノトーンアイテムをミックス。静かだけれど豊かさを感じる田舎風スタイルを表現しました。
キッチンもリビングの暖炉と同じく墨黒で塗り分けました。モノトーンでフレーミングすることで、奥行き感が出て広さを感じられます。飾り棚には、好きな器を配して見せる収納を楽しみます。カフェや、小麦粉、スパイス各種など用途ごとに名前が記された陶器は、故郷ウィーンの蚤の市で買ったアールデコ時代のもの。友人の陶芸家からプレゼントされたボールや、形違いのミルクポットも白でまとめて統一感を出しました。エスプレッソマシンやトースター、湯沸かしポットはシルバー×ブラックのシャープな色合いで揃えて。道具としての機能はもちろんですが、オブジェとしても美しいデザインにこだわりました。
自分の好きなテイストを合わせるだけで、とっておきのコーナーが完成
インテリアスタイリストという職業柄、資料としてたくさんの書籍や各国のインテリア雑誌に目を通します。中でも特にインスパイアされるのが、世界各地のアーティザナルな伝統品や受け継がれてきたストーリーのある品です。そこに今らしいエスプリをひと匙加えるのが、いつものスタイリング。時代や土地、作家、そして素材や風合いが違っても、”好き”という自分のフィルターを通してキャッチしているモノだから、違和感がなく馴染んでくれるようです。
16歳の長女の部屋は、娘と相談して白一色で塗りました。シンプルな空間をキャンバスに見立てて、彼女の大好きなカゴバッグや、大きさ違いの鏡、カラフルなポストカードなど、いろいろなエッセンスの小物でレイアウト。リズミカルで夢に溢れたティーンエイジャーのインテリアです。
インテリアスタイリストである、ドリスさんのセンスが光るご自宅、いかがでしたか? モダンでストイックになりそうなモノトーンがベースなのに、どこか温かみがあって、心からくつろげそうな住まいでしたね。次回は8月7日(金)にUP予定です。お楽しみに。
Profile
Doris BARBIER-NEUMEISTER
(ドリス・バルビエール=ヌメイステール )
インテリアスタイリスト。オーストリア出身で、ウィーンの美術大学を卒業後、現地の広告代理店でグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。30歳の時にオーストリアで、フランス人の現夫と出会い、結婚を機にパリに拠点を移した。現在はインテリアスタイリストとして、雑誌やウエブマガジンで活躍中。
@doris.barbier
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