顔まわりだけでなく、全体の印象を大きく左右するヘアスタイル。ただ、洋服のように軽やかに取り替えるのも難しいですよね。そこで今回は、ヘア&メイクアップアーティストの佐藤エイコさんのお力を借りて、「着たい洋服」から、似合うヘアスタイルを逆引きして実現。「ショートボブ編」と「セミロング編」でお届けします。
まずはショートボブ代表として、大草直子が登場。大草が今だからこそチャレンジしたい洋服、そしてなりたい女性像とは?
洋服も髪型もアップデートを。
変化を楽しんで

「エイコさん、本日はよろしくお願いします。 私が今着たいと思っているのは、ずばり“アメリカントラッド”! 高校生の時に好きだったアメリカントラッドが、今また気になるの。でも、髪型が今までと同じままだと、どうしても古くさくなってしまう気がして。“ファッションとして、敢えてトラッドを着ています”というようにしたいのだけど、ヘアスタイルで気を付けるポイントはありますか?」(大草)
「今はやっぱり、“ウエットヘア”がおすすめ。若者の間で流行っているイメージがあるけれど、大人も取り入れるべき理由がたくさんあります。例えば、年齢を重ねると髪の毛のパサつきが気になってくると思うのだけれど、オイルを使うことで艶が出て若々しく見えるし、傷んでいる髪の毛もケアできる。ただのストレートヘアでも、オイルをつけてあげるだけで、“手抜き感”がなくなりますよ」(エイコさん)

「なるほど。洋服と同じで、髪型もアップデートしていかないと、ですよね。私の場合、すごく忙しかった30代は、とにかく時間がなくてずっと髪の毛を結んでいました。でも今は、自分のために手を掛ける時間が作れて、洋服とヘアスタイルのバランスを考えられるようになりました。“オシャレとヘアの相関関係”というのは、今回のタイトルでもあるのだけど、エイコさんはどのように考えますか?」(大草)
「やはり洋服も髪型もアップデートが大切だと思います。年齢を重ねていく自分を認めながら、その変化も楽しんでいく。ずっと同じ髪型だと、いつまでも“その時代の人”に。髪の毛は伸びるので、思い切って短くしてみたり、オイルを使ってみたり。一度にたくさん変えずとも、どれか一つを変えるだけでも良いのです。それだけで新しい自分になり、オシャレも楽しくなりますよ! 」(エイコさん)

「私は、髪型は肌や洋服と同じで、その人のコーディネートを構成するアイテムの一つだと思っています。例えば、ちょっとドライで、清潔な色っぽさを表すならリネン、艶やかでエレガントな雰囲気だったらシルク、というのと同じ。何十年も同じ洋服を着ているわけではないので、髪も、フォルムや質感を変えるべきだと思っています。首から上と首から下を分けるのではなく、全体を見たときの、自分の女性像を表現するときのアイテムとしてヘアスタイルを考える。特にマスクをほとんど外すことがない、という今は、髪型がプレゼンテーションとしての大きな役割を担っていますよね」(大草)
「そうそう。リップもなかなかつけられないし、メイクで表現することに制約がある今、洋服と髪型はより密接に関係していると思います。美容室に行く時にも、美容師さんになりたいヘアスタイルだけを見せるのではなく、“こんな洋服を着てみたい” “持っているけれど、なかなかトライできないこの洋服を着こなしたい”というふうに相談してみるのも良いですよね」(エイコさん)
「たしかに! プロに相談して、第三者の目線で見てもらうことって大切。メイクと髪型を両方とも変えようとすると分からなくなってしまうけれど、どちらかだけだったらトライしやすいもの。着てみたかった洋服や憧れの女性像に近づくのは、今がチャンスかもしれません」(大草)
\NEW ヘアスタイルが完成/
BEFORE

右側が少し長い、アシンメトリーの髪型。ショートヘアの時に作ったレイヤーが残った状態です。「アメリカントラッド」を今っぽく着こなしたい、ということに加え、今回の大草からのリクエストは以下の3つ。
✔︎ おろした時に程よい抜け感が出ること
✔︎ 結べる長さであること
✔︎ スタイリング剤でクセが活かせること
大草の普段の服装は、どちらかというとコンサバティブ。そのため、髪型一つでマダムのような印象になってしまったり、迫力が出過ぎてしまうことも。そこで、「おろした時に髪型で抜け感が出るように」というのが1つ目のリクエストです。2つ目は、コーディネートによって髪型の印象や、髪型の分量の変化ができるように、「結べる長さであること」。3つ目は、日によってウェットヘア用のオイルと、セミドライヘア用のワックスを使い分けるという大草が、「自分のクセを活かしつつ、どんなスタイリング剤でも簡単に髪型が決まるようにして欲しい!」 というリクエストでした。
AFTER

ボリュームを程よく残し、レイヤーをほぼなくした髪型に。アシンメトリーだった左右の長さも、同じ長さに揃えました。大草のように毛が細くクセのある人は、適度なボリュームが大切、とエイコさん。また、レイヤーを入れたヘアは、ボブよりも短い人だとなかなか扱いづらく、似合うコーディネートを選んでしまうのだとか。
エイコさんのカットは、おろした時にもまとまりがあり、抜け感の塩梅が絶妙、と大草。その秘訣は、髪を濡らさずに切る「ドライカット」です。濡らした状態でカットすると、クセの流れが目立たず、乾いた時に思っていた表情と違ってしまう、ということがあるのだそう。自身のクセを活かしたい場合は、極力ドライな状態でカットするのがおすすめ、とのこと。
いかがでしたか? 次回は、明日、5月1日(土)に公開予定。新しい髪型で大草がトライしたかった「2021年版のアメカジスタイル」をお届けします。お楽しみに!
Photograph /Shungo Tanaka(MAETTICO)
Hair&Make-up/Eiko Sato(ilumini)
Styling /Naoko Okusa
Text / Manami Sato
Edit /Ayako Suzuki