子供たちが小さくて。今より細かい仕事が多くて。まだまだ、スケジュールは思い通りにならなくて。夫もフルタイムで働いていて。
気がつくと洗濯物の山の横で寝てしまったり。
子供たちの学校の行事にも出られなくて、仕事に向かう電車で涙がぽろん、と落ちたり。
30代は本当に本当に大変だった。誰かが風邪を引けば、全てのバランスが壊れてしまうギリギリのところを歩かなければいけないストレスとプレッシャーは、家族みんながもっていたかも。
そのストレスを和らげ、プレッシャーをほどき、そして私たちの命を暖めてくれたのがスープ。鍋いっぱい作って、2日間、朝晩食べたな。クリーム、トマト、白だし、中華、とろみ。とにかく工夫に工夫を凝らして、誰も風邪を引かないように、と念を込めて、寸胴鍋と向かい合っていました。
今も、です。
特に、風邪やインフルエンザが流行り始めるこの時期は、毎日、特に朝は食卓に並べます。
お椀によそい、ふかふかと湯気を立てるスープは、あの怒涛の日々を過ごした今、一層美味しく、一層ありがたい。飲み干した後、ありがとう、とつぶやいてしまうのは、昔も今も、だな。
今、大好きなりこさんのレシピも、スープです。りこさんのレシピには、食べることへの愛情と、食材に対する感謝、今までの幸せな食卓の風景がレイヤードされていて、スープの湯気のようにふかふかな気持ちになりますよ。