咲く花の向こうに

前回に続き、花のお話です。

お寺の境内には草木が多く植えられています。長年境内の掃除をするうちに、季節の花に注意を向けるようになりました。咲く花を喜び、散る花を惜しむ。そのうちに、花が咲くまでも変わらずにあった木や草のことを気に留めずに過ごしていたことに気づかされました。

花があるところには草木がある。水が、光が、土がある。
花を眺める人がいるところには、草木を大事に整える人がいる。
目の前で咲く花の向こうには、目には見えない様々なつながりがある。

花を見るようになってから、自分自身がどれだけ多くのつながりに育てられ、支えられてきたか、ということに思いを向けるようになりました。

Profile

木原祐健
（きはら ゆうけん）
東京神谷町・光明寺の僧侶。2005年に光明寺のお寺カフェ「神谷町オープンテラス」の立ち上げに加わり、ご縁に導かれ僧侶となる。お寺カフェの「店長」として来訪者のおもてなしを担当し、お寺や福祉施設などで傾聴活動を行う。趣味はカフェ巡り。著書に『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12ヶ月』（河出書房新社）など。