Blog 大草直子の毎日AMARC

5年弱勤めた『ヴァンテーヌ』で学んだことはたくさんありますが、「言葉の使い方」は、その中でも今でも私の血となり肉となっています。フリーランスになって、あまりに雑誌の仕事が増えて、毎日撮影、コーディネート、そして原稿書き、と色々が重なってきてしまった時期。夜遅くまで撮影準備をしてそして原稿を明け方まで書いて、朝は早朝ロケ、なんていうスケジュールに疲れ果て、「文章を書くこと」を諦めようと思ったことも。けれど、私のスタイリングは、やっぱりどうしたって普通で、今なら、それが「私らしい」と言えますが、30代とかだと迷うわけですよね。
もっと華やかなディテールや鮮やかな色、「映える」スタイリングの方が良いのかな、とか。なかなか前の方のページももらえなかったし(ノンブルと言われるページが前の方が、クオリティが高いと言われていました、以前は)。けれど、ある時思ったんですね。「提案するコーディネートが普通、ベーシックであるなら、それを捕足する言葉を個性的にすれば良いんだ」と。雑誌の良さは、写真と文章が同じくらいの力を持っていること。これは、それこそ『ヴァンテーヌ』で教えてもらったことでした。「はちみつ色の石畳」とか「素焼きのポットのような」とか、もしくは「カフェラテカラー」なんて、飲みものを比喩に使ったりと、だんだん自分らしいスタイルが固まった気がします。


色は、見る人の感性や記憶で、思い浮かべる色みが変わります。一口にベージュと言っても、ブラウンに近い色を指す人もいれば、トープカラーを思い出す人もいる。だからこそ、共通の「もの」を使うと、とてもわかりやすいかな、と思っています。よく使う、少し甘さのあるブラウンは、「森永ガーナチョコレートのミルク味」なんて説明します。わかりやすくないですか(笑)? と、そんなことを思い出しながら、先日も、ブラウンのたくさんの生地見本の前でワクワクしてしまいました。これは、イタリアの素材メーカーだったので、ネーミングも素敵。
色を説明するときの言葉をたくさん持っている人は、会話も本当にカラフルになります。美しい色を見た時、「自分ならこの色をどうやって表現するかな」と考えるのも面白いです。