
私はスタイリスト、というよりエディターだな、と感じる瞬間が、時にあります。それは例えば、口数が多いわけではないけれど、伝えたいメッセージは深く濃く、そして、信念とも言うべきクリエーションの哲学がある、そんなデザイナーに出会う時。春の初めにお会いした「BAR Jewellery」のデザイナーのソフィーさんは、まさにそんな方でした。お話を伺ったのは、彼女の「作品」を扱う、神宮前のESCAPERS AN OTHER WORLD。あまりにナチュラルで柔らかく、けれど、芯はしっかり地面に根ざしている、そんなソフィーさんと、彼女が作る「全てのジュエリーは1つのバーから作られる(金属のバーが形の純粋さや「基本に戻る」アプローチを象徴する)」と言う意味のブランドは、まさにシンクロし、時間と共に世界観は増幅し、ずっと話を聞いていたいくらいでした。


彼女のジュエリーに出会ったのは昨年。長くトゥモローランドのジュエリーバイヤーを務め、自身のブランドももつ和田麻里子さんにご案内いただいたのが最初。世界中の、さまざまなジュエリーを見てきた、稀有なバイヤーである麻里子さんが、ゾッコン惚れ込んだ←古い(笑)のが、ソフィーさん。イギリスで生まれ育ち、小さなお子さんを育てながら、のデザインは、散歩する森やガーデンから得るインスピレーションがあったり。ややもすると、資本主義や大国主義の価値観が良し、とされてしまうジュエリーブランドで、本当の意味でエシカルである、ということを最初から体現する強さがあったり。ブランド、というより、ソフィーさんが作り上げる日常のアートといったラインナップです。
クリエイトされるデザインの有機的なラインや、人のボディラインに沿うナチュラルなデザインはもちろん、ソフィーさんの「生きてきた」、そして「生きている」世界観を知ることができるピアスやネックレス。昨年は、アシンメトリーなビッグフープのピアスなどを手に入れましたが、今年は、エスニックなハーフオープンのスクエアピアスや、着け方でイメージがかわるハートのピアス。甘いとか辛い、では表せない、本当に独特の世界観なんです。


「ジュエリーのデザインを専門に学んだわけではない」と、ソフィーさん。「ワイヤーで実際に形を作りながらフォルムを決めていく」という制作方法は、服で言う立体裁断。着けると、その意味がよくわかります!
毎年少しずつ集めるのが楽しく、今回残念ながらご一緒できなかったディナーを、次回はぜひ、と今この原稿を書きながら、思う次第です♡