
よくいただく質問に、「クローゼットを開けると黒ばかりですが、きれいな色も着たほうが良いでしょうか」「パンツが好きで、ほとんどスカートを持っていないのですが、やっぱり買うべきですよね?」
どちらの答えもNOです。あ、もちろん私が決めることではないのですが(笑)。20歳の若者は、迷って失敗して、また挑戦して――まだまだ、キャリアも人生もステイブル(安定する)ではないタイミングなので、ワードローブがまとまってなくて当然。けれど、ある程度、女性像が絞られてきた大人は、狭くて深くて良いんです。
黒がほとんど、そしてパンツやスカートの形、丈もかなり限定されている。それで良いし、それが良い。100枚服があったら、その人に本当に似合う服は20枚しかないだろうから、むやみに、コーディネートの濃度を「薄める必要」はないのです。

例えば具体的に私の例で考えましょう。体型や生活背景、似合うもの、そして目指すイメージで、かなりラインナップは狭い。トップスはタイトでコンパクトなタイプか、デコルテか背中が開いたデザイン、ネックが高いタートルネックなど。ジャケットはテーラードかツイードが好きだし、ボトムスは圧倒的にスカート<パンツ。ただし、ミモレ丈かマキシ丈のスカートはOKで、パンツも、スキニーは「絶対にはかない」。膝を出すことはないし、色も、今は黒が心地良い。ここ数年、「服を作ったり」「デザインアイデアを出す」仕事が多かったので、さまざまな服を着ましたが、50歳になって、またぐっとフォーカスできるようになってきた気がします。

昨日と全く違う自分になることは無理があるし、「似合う」が曖昧になってしまう。
自分が好きなものはこれ、似合うものはこれ。そう決めることは大変だし、もしかしたら辛いかもしれない。けれど、おしゃれを進める、安定させる(おしゃれになる、という言葉は、あまり好きではないので)ためには、自分でやらないと。カラー診断や骨格診断も、人によってはヒントになるかもしれません。ただし、私はやはり「好き」「ウキウキする」を大事に、周りの人に褒められる、とか、写真に映る自分の姿に満足する――みたいなことで、選択肢をどんどん絞っていけば良いのかな、と思います。
今年は、私自身も、さらにワードローブ絞っていこうかな、と思っています。ただし、断捨離ではない(笑)。