Your style is you大草直子の信じるおしゃれ

2023.12.24

〈安藤優子× 大草直子〉 ファッションは現を抜かすものではなく、生き様そのもの【安藤優子 meets NEW6ブランド】


知られざる『安藤さんの魅力』をシェアしたいと、AMARC編集長の大草直子が自ら発案した【安藤優子 meets NEW6ブランド】企画。最後にお届けするのは、安藤さんと大草のファッション談義。安藤さんのファッション遍歴や偏愛アイテムなど、ファッションにまつわるアレコレを教えていただきました。


ファッション(洋服)は、

私を助け、支え、鼓舞してくれる

かけがえのないもの

大草:今回の特集では、勝手ながら……。安藤さんのまだ知られていないであろう魅力が引き立つアイテムとコーディネートを提案させていただきましたが、安藤さんと言えば、仕立てのいいスーツをクールに着こなしているイメージが強いと思います。仕事の場面では、どんな風に洋服を選んでいましたか?

安藤:報道番組に出演していたときは、もっぱらスーツでしたね。色も、紺、黒、白、ベージュといったベーシックカラー。と言うのも、ひとさまに「何か」を伝えるときに、その「何か」よりも前に出るような洋服はありえないと思っていたから。ニュースよりも、私が何を着ているかという情報ばかりが気になってしまうようだと、私自身の信頼性に関わってきます。私にとって一番大切なのは、「あなたの言うことだから信じよう」と思ってもらうこと。それ以外にないのです。だから、報道番組のオンエアーでは、私なりの「誠意」を示すため、毎日、着るものを厳選していました。

大草:その気持ち、しっかり伝わっていました。ヘアスタイルやメイク、ジャケットのサイジングや色合わせ。すべてに、寸分の狂いなく、その気持ちが一本の軸として通っていた印象です。

安藤:ありがとうございます。そう、私の場合、洋服は、仕事や生活とものすごく密着しています。海外の要人にインタビューするときも、どんな服装で行くべきか思いめぐらせていました。例えば、ヒラリー・クリントン氏へのインタビュー。当時、彼女は米国務省官という役職でした。そのとき私が選んだのは、黒のテーラードジャケットとパンツのスーツ。

ヒラリー・クリントン氏にインタビューする安藤さん。

安藤:インナーには、デコルテがあいた白のタンクトップ。そしてパールの2連のネックレスをしました。このコーディネートには、「“貫禄負け“しないぞ」という意気込みがありました。貫禄負けしてしまうと、相手に主導権を握られ、聞きたいことが聞けなくなってしまうから。パンツスーツで「誠実さ」を表しつつ、デコルテの肌分量を増やし、パールのネックレスを足すことで、微量の「気迫」のようなものも込めた、そんなコーディネートです。こういった緊張感のある服で向き合うと、自然と姿勢も正され、仕事(インタビュー)にも集中できるのです。

大草:すごいですね。お話を聞いているだけで、現場のピリッとした空気感が伝わってきます。何を選び、どう纏っているかは、出会った瞬間の印象を大きく左右しますものね。安藤さんの知性と品性、そして仕事への真摯な姿勢を感じました。

安藤:そう、洋服って、信頼感を結ぶ手助けをしてくれたり、誠意や意思を伝える手段になったりもしますよね。人生のさまざまなシーンで、洋服は、私を助け、支え、ときに鼓舞してくれます。口幅たいですが、私が身に纏っているものは私の生き様そのもの。だから、「たかがファッションに現を抜かして……」などと言われると、ムッとしてしまいます(笑)

大草:そのお考え、私もよく分かります。安藤さんのファッション遍歴は、カルチャーや社会情勢との結びつきも強いですよね。他には、どんなエピソードがありますか?

安藤:そうですね、大統領とお会いするときは、お相手の国に対しても「敬意」を表せるような洋服を選んでいました。仏のジャック・シラク氏にインタビューしたときは、シャネルのスーツを。米のビル・クリントン氏のときは、カルバンクラインのスーツを着ました。

大草:そういったお話を聞くと、敬愛するジャクリーン・ケネディ氏の”ファッション外交”が思い浮かびます。安藤さんも、身に纏うものの意味を、自ら熟考し、選びとってきたのですね。

安藤:少し話が変わりますが、先日、過去の写真を整理する機会があって。1990年代初頭に、コンゴ民主共和国(当時の国名は「ザイール」)の、破壊された空港近くで取材しているときの写真が出てきたのです。

ザイール(現・コンゴ民主共和国)で取材をする安藤さん。

安藤:ブルーのシャツにチノパン。足元は見えていませんが、アメリカ留学時代からはいていた、ぼろぼろだけれど気に入っていた編み上げのワークブーツ。シャツの裾を結んでいるところに時代を感じますが(笑)、現場で一心不乱に取材しながらも、自分なりにおしゃれを楽しんでいたのだな、と思いました。

大草:素敵! おそらく、当時はまだそこまで、女性がチノパンをはくという習慣がなかったはず。しかも、チノパンと聞いて思い浮かべるこっくりしたベージュではなく、白に近い感じのセレクトが、またオシャレ。そして、このサックスブルーのシャツ!

安藤:女性がこういった「現場」で働くことが、まだあまりなかった時代ですね。男性の中に混ざって寝食をともにする。ホテルと言われる天井のない場所で、スプリングのないベッドの枠の中で雑魚寝する。そんな環境の中、自分の身をプロテクトするという意味でも、何を着て、どのようにふるまうかがとても大切でした。

大草:何を着るかが、仕事、そして危機管理と結びついているのですね。こういったお写真を拝見すればするほど、安藤さんは「服を着る」こと、そして「何を着るべきか考える」ことがお好きなのだなとお見受けします。



アウターとバッグが偏愛アイテム。

プライベートでは

「着たいものを着る」、それだけ

大草:プライベートで選ぶアイテムは、また違ったルールがあるのですか?

安藤:大草さんにご指摘いただいたように、「服を着る」ことが大好きなので、プライベートでは、とにかく自分の好きなもの、着たいものを着る、それだけなのです。気がつくと、同じようなシャツやジャケットがクローゼットに並んでいます。

安藤:今回の企画の本編でもコメントさせていただきましたが、「コート」は偏愛アイテムのひとつ。ドラマを感じるコートには目がありません。

大草:そのあたりは、新著『アンドーの今もずっと好きなもの。』(宝島社)にも書かれていましたね。無類のコート好きだと♡ 新著の中のアイテム、そしてコーディネートはどれも本当に素敵。なかでも、私はミカコ ナカムラさんのミニのセットアップスタイルが好きです。私も、33歳のときにミカコ ナカムラさんのコートを作ったのですが、今年、もう一度着てみたくなりました。

安藤:拙稿のご紹介、ありがとうございます。あとは、バッグも偏愛アイテムのひとつですね。多荷物派なので、普段のバッグはとにかく大きくて丈夫なもの。最近は、The Rowのマルゴーがお気に入りです。見た目に反して軽いのも魅力。

大草:The Rowのマルゴー、憧れです。すごく素敵ですし、お似合いです。普段は、何をそんなにバッグの中に入れているのですか?

安藤:仕事の資料にパソコン、財布、めがねやサングラス、ペンケースにポーチもいくつか……。だから、普段の私の暮らしにはない、今回の企画のなかにあったような、小さなバッグを持って出かける、そんなシーンに憧れがあるのです。

大草:そんなぁ。きっとそういったシーンもたくさんありますよね。もし、本当にないようでしたら、今度ぜひ、そんな機会を私に作らせてください(笑)



安藤さんと大草の話は尽きることなく、話していくうちに、大草は、次の企画まで思いついたようでした。

さて、番外編や対談記事を含め、全9回でお届けした本特集、いかがでしたか? 安藤さんという一人の女性を通して、さまざまなアイテムとコーディネートを紹介してきましたが、「装うこと」の楽しさを改めて感じてもらえたり、「新たな一面」を彫り出すヒントを見つけ出していただけたら嬉しいです。


※本ページに掲載している価格は、税込価格になります。
※価格は掲載当時の価格です。
※ショップリストはこちらからどうぞ。

Photographs / Akira Maeda(MAETTICO)
Model / Yuko Ando
Hair & Make-up / Yukio Mori(ROI)
Styling / Naoko Okusa(AMARC)
Edit & Text/Ayako Suzuki(AMARC)


安藤さんの新著
「アンドーの今もずっと好きなもの。」
絶賛発売中!

対談の中でも出てきた、安藤さんの新著『アンドーの今もずっと好きなもの。』(宝島社)が、絶賛発売中です。ファッションはもちろん、おうちごはんレシピ、愛犬りんちゃんとの毎日など、安藤さん流の「日々の暮らし」を愉しむためのアイディアが満載。安藤さんのオール私服&セルフコーディネートは必見です。


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